リハラボ

知っておくと役に立つリハビリの知識を紹介

リハビリで安心して離床を進めるためのオススメの離床基準

「リハビリで離床したせいで状態が悪くなった」そんな経験はありませんか。実際はリハビリのせいではないことも、明確な基準を多職種で共有せずに離床していなければ、リハビリのせいにされてしまうこともあります。そこで、ぜひとも知っておきたい離床基準を紹介します。

 

各施設のベースにしやすい離床基準

日本リハビリテーション医学会ではリハビリテーションの開始基準として、「積極的なリハビリテーションを実施しない場合」として12項目を提示しており、離床の判断基準としています。
 
◯安静時の脈拍40回/分以下または120回/分以上
◯安静時の収縮期血圧が70mmHg以下または200mmHg以上
◯安静時の拡張期血圧が120mmHg以上
◯労作性狭心症の場合
◯SpO2が90%以下
など
 
他にも日本における離床の進歩や普及に向けて、研究や教育を行う「日本離床研究会」においても、離床の開始基準が提示さています。
 
これらは、脈拍や血圧、呼吸状態など多用な視点からリハビリテーションの中止基準や離床基準を示しており、汎用性がある基準といえます。
 
各施設でまず離床基準を作っていく場合に参考にしやすい基準であると言えるでしょう。

 

循環器障害での離床基準

循環器障害では、手術後の状態により、一般的な離床基準に加えて、注意しなければならない項目が少なくありません。
 
そこで循環器障害における離床基準を紹介していきます。心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)では、心臓外科手術後の離床開始の目安とするために離床よりも安静にして治療を優先すべき場合が示されています。
 
◯心臓の拍出量が低下しており、人工呼吸器や 大動脈内バルーンパンピングなどの
 生命維持装置がついていたり、強心薬が大量に使用されていたりする場合など
◯スワンガンツカテーテルが挿入されているなど
◯安静時心拍数が120以上
◯血圧が不安定で体位変換するだけで低血圧症が出る
◯安静時に呼吸困難や頻呼吸が生じる
など
※これらの状態が改善されれば離床開始の目安となる
 
もちろん、これらの基準が改善されたからと言って、すぐに離床を始めて良いわけではなく、医師による明確な指示のもとで、離床が開始されます。
 
また、リハビリテーションを一時中止する反応として、American Association of Cardiovascular Pulmonary Rehabilitationの基準や群馬県立心臓血管センターの基準などがあります。
 
これらの基準をもとに、離床実施後も十分に配慮しながら、離床継続の可否を判断していく必要があります。

 

集中治療の現場での離床基準

日本集中医学会の早期リハビリテーション検討委員会は離床やベッドサイドでの積極的運動に関して、意識や疼痛、呼吸、循環など6つの項目に対してき検討すべき基準を提案しています。
 
◯意識:鎮静スケール(Richmond Agitation-Sedation Scale :RASS)が−2以上また
 は1以下
◯疼痛:NRSまたはVASが3以下
◯呼吸:呼吸回数が35回/分より多い状態が持続
◯循環;心拍数が50回/分以上または120回/分以下の状態が持続
など
 
集中治療はまさに早期離床を最もする機会の多い現場ですので、離床の基準を参考にしながら、フィジカルアセスメントやモニターなど数値を参考にしながら、患者様の状態変化を捉えていく必要があります。

 

術後すぐの離床で大丈夫?脳卒中における離床基準

脳卒中後における離床の基準は以前と昔では大きく変わっています。
以前は開始基準として、JCSが一桁、麻痺などの神経症状が停止し、バイタルサインが安定した状態でした。
また、離床開始の時期としては、発症から2〜3日が経過して、神経症状の進行が止まった時期もしくは発症1週間程度が経過して、バイタルが安定した時期としていました。
しかし、現在はJCSが100以下で、脳ヘルニアの所見や症状がなく、重篤な循環器疾患や腎不全といったリハの阻害因子がない場合と変化しています。
そのため、離床の時期は発症当日から可能となることも多く、血栓溶解療法後の場合でも、24時間経過後に離床可能となっています。
ただし、早期離床の概念が進む中で、「なるべく発症後早くから離床」という考えには、疑問の声もあるようです。
SundsethやAVERT の研究グループの報告を見ると、24時間以内に離床をした場合に生じるデメリットを示す結果となっており、今後は離床のタイミングについてさらなる変化が生じる可能性が考えられます。

 

基準をそのまま当てはめるだけでは不十分!参考にしながら多職種で離床基準を作ろう!

いくつかの離床基準を紹介しましたが、これらの基準をそのまま患者様に当てはめるだけでは、臨床現場で実際の離床を行うためには不十分です。
 
なぜなら、患者様は様々な疾患や合併症を患っていることも少なくなく、その状態は多種多様です。また、施設ごとに、治療や処置の方法も異なり、すべての施設に当てはまる、一律の基準を使用することは難しいです。
 
そのため、「なぜこのような基準が設定されているのか」を理解し、既存のエビデンスを参考にしながら医師や看護師など多職種で自分の施設の実情に合わせた基準を作りましょう。