リハラボ

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リハビリ起き上がりの動作分析のポイント

起き上がりは、寝返りと共通点の多い動作であるが座位、立位とベッドから離床し姿勢を変換していく際の最初の動作です。また、臥位と比べ姿勢保持に必要な抗重力筋の活動も活発になる姿勢です。起き上がりの運動パターンも人それぞれ多様なパターンがあります。どのような起き上がりが良い動作か判断するのも難しいと思います。患者さんは度々ベッド柵やマットの縁を掴んで引き動作、屈曲の動作で起き上がることが多く見受けられます。片麻痺の患者さんであれば、麻痺側が上下肢が管理されないまま非麻痺側が先行し起き上がることも多々あります。そこで、患者さんが楽にベッドから離床でき、痛みや患側が動作に参加した起き上がりができるようになるため、基本的な起き上がりの構成要素を整理していきたいと思います。

【起き上がりの動作分析】

寝返りや起き上がりの運動パターンは多く、ある報告では60名の被験者の起き上がりに置いて89パターンが認められた報告もあります。ここでは、起き上がりの構成要素を3相に分け説明していきます。

【第1相】

第1相は、屈曲相とも呼ばれ背臥位から上部体幹回旋までの過程を言います。

起き上がり動作への移行において、頭頂部屈曲の動きが重要です。肩甲帯から体幹前面筋群の筋緊張を高めます。安定した支持基底面と体軸内回旋を保証するための筋連結が大切です。肩甲帯の前方突出が生じることで体幹回旋筋群を賦活させ、続いて脊柱を中心とした体軸回旋が起きます。リーチによって上肢重量が起き上がる方向へ関節トルクとして回旋を補助します。胸椎を軸にした上側外腹斜筋と下側内腹斜筋の活動が必要です。

【第2相】

第2相は、移行相と呼ばれ、上部体幹回旋から前腕部と下肢での支持に移行していきます。

背面での接触支持から上肢帯、下肢帯へと支持基底面が移行していく相であり、より大きな抗重力活動が要求されます。頭部の空間上での制御、荷重側の肩甲帯、上肢、骨盤帯が安定し前腕支持(on elbow)を行っていきます。非荷重側の骨盤挙上と腹斜筋活動が骨盤傾斜、体幹の側屈活動をおこしていきます。上部体幹の回旋と下部脊椎・骨盤回旋と協調しながら両側下肢のコントロールをしていきます。体幹や骨盤帯のコントロールが不十分な場合、上肢の支持や股関節屈曲、慣性を用いたスピードにより代償されやすいです。

【第3相】

第3相は、伸展相とも呼ばれ前腕支持と下肢での支持から両側臀部での支持への移行相です。

前腕支持から手支持(on hand)、非支持となり、荷重側の肩甲帯、上肢、骨盤の安定性がより要求されます。支持基底面は大腿部外側から両側臀部、大腿部後面に移っていきます。頭部はより垂直コントロールが要求され、眼球・頭部・体幹での正中軸の知覚が求められます。非荷重側の骨盤挙上は外腹斜筋の活動による肋骨の安定と内腹斜筋の遠心性コントロールにより下制での制御が必要となります。両側骨盤安定により、両側臀部での支持となります。床面への足部の接地・探索活動も求められます。両臀部支持を安定相として第4相とする場合もあります。

【まとめ】

起き上がりは背臥位から端座位へと移行していく動作です。重要なポイントは、1側支持に向かっていく中で体幹の軸内回旋、非荷重側のリーチ動作が要求され、骨盤左右非対称に支持と非支持で挙上と下制が要求される動作となります。寝返り動作と似ている部分もありますが荷重側の上肢や下肢はon elbow、on handに耐えられる安定が必要で、非支持側もリーチしていく回旋の動きが要求されます。寝返り動作と同様上肢や下肢での引き込みでの代償が入りやすく、起き上がりの動きを評価することで体幹の回旋能力や上下肢の支持性、左右への重心移動の仕方が評価できると思います。

【参考文献】

金子雅史著 医学書院 「脳卒中の動作分析 臨床推論から治療アプローチまで」