リハラボ

知っておくと役に立つリハビリの知識を紹介

リハビリ各病期における患者さんの問題点をどのように抽出するか!

はじめに

最近、クリニカルパスの導入やEBMに基づく治療展開という部分が重視され、患者さんの個別性を重視した評価、治療がないがしろになってきている現状がある。カンファレンスなどでもリハ評価としてどのような問題点があり、どのように仮説を立てたかなど提示できない若手セラピストも散見する。

 そんな中で、今回「リハビリ各病期における患者さんの問題点をどのように抽出するか!」というタイトルで、関わることの多い脳卒中患者をモデルとして、各病期における患者さんの問題点について抽出の手助けになるような情報を提供していきたい。

 

急性期

脳卒中をモデルとした場合で考えれば、急性期に問題となってくることはまずは、リスク管理の部分です。特に、①離床基準やバイタルサインの確認、②臨床症状の有無、変化、③現状でできるADLの把握といったことが重要事項として挙がってきます。①~③の順を追って確認していきます。

 

1 離床基準やバイタルサインの確認

まず、リスク管理ということで離床基準やバイタルサインの確認は重要です。脳出血であれば、血腫除去術など手術の有無も影響するが、特に血圧が高くなりすぎないよう注意が必要です。また、脳梗塞であれば、血圧低下による梗塞巣の広がりなどにも注意が必要で、そのためリハ中の血圧やバイタルサインの基準に関し医師に確認が必要です。

また、ベッド上端座位や車椅子への離床など血圧管理も合わせ、どこまで行っていいのか確認しておく必要があります。患者さんによっては、再度血栓が飛ぶ恐れがあったり、再梗塞のリスクが高い方もいるので、画像情報なども踏まえ、とにかく、進行の予防や投薬治療などに合わせながら安全なリハを実施することが必要になってきます。

 

2 臨床症状の有無、変化

当然ですが発症により、運動麻痺の程度、感覚障害の有無、失語症など高次脳機能障害の有無など、どのような症状が出ているのか確認する必要があります。そして急性期の間は、前日と比べ症状が進行しているのか、良くなっているのかなどの判断も重要になってきます。覚醒レベルの低下や運動麻痺の重症化など見られるとリハ中止や治療の再検討など必要なため主治医にすぐに確認する必要があります。発症直後は患者さんも混乱しており、せん妄状態にあったりします。前日のことを覚えているかなど会話の中からも状態の変化を追っていきます。

 

3 現状でできるADLの把握

患者さんがストレスなく安全に病院生活を送れるためにも現状でできるADLを見極めることが大切です。治療の都合上安静が必要な場合もあります。しかし、ベッドサイドでポータブルトイレまでなら見守りでできる。車椅子でトイレまでは介助で行ける。食堂で車椅子に座って一人で食事をできるなど現状でできることをしっかり評価し病棟と連携を図っていくことは患者さんのストレスを軽減し、信頼関係構築にも不可欠です。もちろん、安全を最優先にしなければ行けませんが、せん妄や高次脳機能障害がなく覚醒もしっかりした人を過度に安静にしすぎることもよくありません。

 

回復期

脳卒中をモデルとして回復期での患者さんの問題点を考えていくと、①退院を見据えたADLの獲得②病棟内介助指導③退院指導といった①~③が絡みあいながら影響してきます。

 

1 退院を見据えたADLの獲得

あえて、退院を見据えたADLとしたのは、現在の能力で介助歩行が可能であっても、自宅では車椅子にて自立した生活が妥当である患者さんもいます。そのため、リハ展開の中で下肢の支持性向上や立位バランスを向上するために歩行練習を行ったとしても退院先のADL、生活がどうなるかをイメージしながら関わらなければいけません。最低限、自宅退院であっても、施設入所だったとしても寝返り、起き上がり、端座位、車椅子への移乗といった動作は病棟スタッフ介助でも行えるよう練習する必要があります。

 

2 病棟内介助指導

リハビリ中ある程度車椅子への離床が可能になってくると移乗動作やトイレ動作を病棟スタッフに伝え、病棟内での離床時間を増やしていく必要があります。その際、なるべく病棟スタッフでも安全に介助ができるよう工夫する必要があります。また、一度きりの指導ではなく患者の身体機能の変化に合わせ介助の仕方を変えていかなければいけません。例えば車椅子への移乗を上から抱えるようにし全介助で行うのか、一度起立してからステップを踏んで移るのかなど考える必要があります。

 

3 退院指導

退院が近くなってくると、家族への介助指導が必要になってきます。患者さんによっては起き上がり、移乗動作、オムツ交換、更衣動作など全般的に介助が必要な方もいます。家族が、どこの介助までできるか把握することも必要です。それによって、退院後入浴サービスの利用、ヘルパーの利用やデイケア、デイサービスの位置づけが変わる場合もあります。退院指導で重要なことは、家族は介護の素人であることを忘れず、患者さん、家族が疲労せず長く在宅生活を送れることをイメージし関わることが重要です。そのために、家族の介護力の見極めも重要であり、負担が少ないような家族指導であったり、どのような在宅サービスを利用するかが重要になってきます。

 

生活期

生活期における問題点の考え方として押さえておきたい点は①現状のADLの確認②生活環境、サービスの確認③潜在能力の評価の3点です。簡単に言えば、現状の能力を確認し、すぐに対応しなければいけない所があるのか、適切な住環境、サービスが行われているかといった点を確認していきます。①~③を順を追って確認していきます。

 

1 現状のADLの確認

まず、現在のADLの中で、変えた方が良い所はあるのか確認します。自立し行っているが動作不安定で軽介助や見守りくらいまで自立度を落とした方が良いのではないかなどです。逆に、自立して行える能力を持っているのに介助で行われていることもあるかもしれません。そのため、現状の把握とADLの変更ということが大切になってきます。

 

2 生活環境、サービスの確認

これは①と重なる部分もありますが、生活環境やサービスの利用状況を確認することは大切です。例えば、トイレに手すりを付ければ自立して行えるのに、退院時に適切な環境調整が行われない場合もあります。また、通所などの外出サービスが使えるのに利用していないなど現状を確認していくことが大切です。

 

3 潜在能力の評価

これは、数週、数か月利用者に関わる中で、この利用者のADL面や活動面はもっとこれくらいまでできるのではないかと、介入を通して把握していくことです。病院では全然歩行練習をしていなかったのに本当はもっとできるのではないかといったところです。

 

まとめ

急性期、回復期、生活期と順をおって、各病期における問題点の出し方の参考になるような情報を記載していきました。皆さんも参考にしてみてください。