リハラボ

知っておくと役に立つリハビリの知識を紹介

自宅でできる歩行練習方法

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超高齢化社会、社会保障費の増大が叫ばれるこの頃ですが、合わせて「健康寿命」というキーワードも多く耳にするようになったのではないでしょうか。

さて、「健康寿命」とは心身に健康上の問題がない中で、医療や介護に頼らずに自立した生活を送れる期間のことです。皆さんも医療、介護に頼らずにできるだけ健康で過ごせる期間を伸ばしたいことと思います。いつまでも、自分の足でしっかりと歩けるということは自立した生活を送る上でも重要なことです。歩くことで、家事もできるし、買い物や散歩に出るだけでそれだけでも脳の活性化に繋がります。

そこで、今回は自宅でできる歩行練習のメニューをいくつかお伝えします。健康な方から膝や股関節を痛めたことがある方、脳卒中で運動麻痺を患った方など特に医師から運動制限や特別運動に配慮が必要な旨を言われていなければ、誰でもできる運動をお伝えしていきます。

 

注意)誰でもできる運動ではありますが、自信のない方、疾患をお持ちの方は壁際や手すりに摑まるなど自己責任で安全管理をお願いします。

 

【プログラム】

1.つま先立ち

①腰幅くらいに足を開き両足でしっかり立ちます。壁の前や手すりと向かい合い行うと体もまっすぐに保て安全も管理できます。

②つま先立ちをしていきます。この際に、足首が内向きや外向きならないように注意します。足の親指側、小指側が均等に踏んばれる高さで踵を挙げていきます。

③つま先立ちをしている間、腰が反りかえらないように注意します。腹部に力を入れ、へそが上を向くイメージでつま先立ちしていきます。頭のつむじが天井に引っ張られるように意識すると良いです。

④ゆっくりと、つま先で支えられる範囲で踵を上げたら、同じようにゆっくり踵を下ろしていきます。これを5,6回繰り返します。回数ではなく、フォームを意識しましょう。

 

考察)脳神経機能のバランスを司る部分が活性化するプログラムです。歩行時のつま先での蹴りだしにも繋がってきます。動作をゆっくり行い、足の親指側、小指側で均等に支えられるようにしましょう。

 

2.横歩き

①腰幅くらいに足を開き両足でしっかり立ちます。壁の前や手すりと向かい合い行うと体もまっすぐに保て安全も管理できます。

②1側に体重を移し、他方を横にステップします。この際に、つま先が横を向かずまっすぐ前を向くように注意しましょう。

③ステップした足が地面についたら、その足の上に重心を乗せるイメージを持ちながら、もう一方の足を寄せ①のポジションになるように立ちます。

④①~③の要領で、5~6m、廊下の距離分など自分で距離を決めて横歩きを進めます。

⑤片方へ決めた距離を進んだら、今度は同じ要領で反対側へ戻ります。この時に左右の支え方の違いを感じながら進むと良いです。これを2~3セット行います。

 

考察)横歩きは、病院などでは主に股関節の外転筋群を鍛える運動として使われたりします。しかし、本当はそれだけではなく、足の着き方や重心移動を意識することで足部内での細かいバランスの練習にも繋がっていく良い運動です。皆さんも、足の着き方や足を着いた後の重心移動をしっかり意識して行ってみてください。

 

3.後ろ歩き

①腰幅くらいに足を開き両足でしっかり立ちます。

②1側に体重を移し、他方を後ろに下げます。この際、支えるのが苦手な方の足を支持側にすると良いです。

③後ろに下げた足はつま先から地面に着き、ゆっくり踵をおろしていきます。この際、体幹をしっかり起こし前かがみにならないように注意することが必要です。あと、ゆっくり行うことが重要です。

④後ろに下げた足の踵が地面に着き、その足でしっかり支えられることを感じたら次に反対側の足を同じように後ろに下げてきます。ここまでは1ターンです。

 

考察)後ろ歩きは、バランス機能、筋力、協調性を改善するリハビリテーションプログラムで使われています。高齢者は若年者と比較して後ろ歩きの重複歩距離が有意に減少を示しているという報告もあります。運動の中に、後ろ歩きを取り入れることは有効ではないでしょうか。

 

【まとめ】

つま先立ち、横歩き、後ろ歩きと比較的馴染みやすい単純なプログラムをお伝えしました。しかし、その中には歩行に必要な片側支持での立位バランスやつま先で蹴りだしていく運動、足部内での重心移動が含まれています。これらの動作を姿勢を意識して、ゆっくりと行うだけで、今までよりも少し歩くのが楽になると思います。皆さんも是非実践してみてください。

 

【参考文献】

モーターコントロール 運動制御の理論から臨床実践へ 原著第3版