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「腰痛も膝痛も予防!股関節の柔軟性が大事なワケとストレッチの方法」

はじめに

股関節は下肢のつけ根にある関節で、腰痛や膝痛の予防・改善のため、またスポーツ前の準備運動として股関節周囲のストレッチが指導されることが多々あります。

しかし、股関節の柔軟性を高めることが重要な理由やどこの筋肉がストレッチされているかまできちんと理解してストレッチを行っている方は少ないのではないでしょうか?

そこで今回は、股関節の柔軟性が大事な理由と具体的なストレッチの方法を詳しくご紹介します。

 

股関節の構造と特徴

■股関節とは?

股関節とは、下肢のつけ根にある関節です。

骨盤の一部である「寛骨臼」という受け皿に太ももの骨である大腿骨の上端が球状になった「大腿骨頭」がはまり込むような形で構成されています。

 

■股関節の特徴

股関節をよく理解していただくために股関節の特徴を2つあげます。

 

1. 球関節である
股関節は、肩関節と同じ「球関節」という種類の関節であり、球体を受ける受け皿の中を球状の骨が自在に動くようになっています。

よって、膝や肘が主に曲げ伸ばしのみ可能な関節であるのに対し、股関節や肩関節は動かせる方向がたくさんあり自由度が大変高い関節です。

具体的には前後方向に足を振る屈曲伸展、横方向に足を振る内外転、下肢をつけ根から捻る内外旋の動きがあります。

股関節はこれらの動きを組み合わすことで複雑な動きを可能にしています。

 

2. 大きな筋肉がついている
下肢の筋肉は上半身の体重を支えて歩いたり立ち上がったりするため上肢の筋肉よりも大きい傾向にあります。

その中でも、大臀筋やハムストリングス、大腿四頭筋など股関節周囲についている筋肉は体積がとても大きく、大きいパワーが発揮できるという特徴があります。

 

股関節が柔軟であるメリット

股関節の柔軟性を高めるとどんなよいことがあるのかご紹介します。

 

■腰への負担軽減

股関節の柔軟性が低いと日常生活の色々な場面で腰への負担が増大してしまいます。

例えば、床に落ちているものを拾うという動作のとき、股関節が硬く曲がりにくいと、その分腰を大きく曲げて拾うことになります。

また、サッカーなどで足を後ろから前に大きく振ってボールを思い切り蹴るとき、股関節の動きが小さいとその分腰を反らしたり曲げたりする代償動作が入ってしまいます。

これは歩行動作でも同じで股関節が大きく動かせないと歩幅を稼ぐために腰の動きを大きく使ってしまうことになります。

このように股関節の動きが小さいことで腰が必要以上に動くことになり、腰の関節や筋肉に負担をかけてしまいます。

逆に股関節が柔軟であると腰の動きが抑制され、腰を傷めることが少なくなります。

 

■膝や足首への負担軽減

股関節の柔軟性は膝や足首といった末端への負担にも関与しています。

例えば、椅子から立ち上がるときや思い切りジャンプするときは股関節、膝関節、足関節(足首)全ての関節を協調させて伸ばし、身体を重力に逆らって動かします。

それぞれの関節にはそれぞれの筋肉がありますが、その中でも股関節周囲の筋肉は膝や足首周りの筋肉に比べて大きい筋肉が多いため、大きい筋力を発揮しやすくなっています。

立ち上がりやジャンプ動作で股関節を大きく使うことができれば股関節周りの筋肉を主に使うことができるのですが、股関節の動きが小さいと股関節周囲の筋力が発揮できない分、膝や足首周りの筋肉が力を発揮しなければならなくなり、負担が大きくなってきます。

そういった非効率的な下肢の使い方の繰り返しで徐々に膝関節や足関節を傷めてしまう可能性があるため、股関節を大きく使えるようにするためにも股関節の柔軟性が重要になります。

 

■動きの幅が広がる

スポーツ競技などで横に思い切り踏み出したいとき、日常生活で誰かにぶつかられてよろけてしまったとき、股関節が柔軟であると横や斜めなど様々な方向に大きく一歩踏み出すことができます。

そのため、スポーツ競技におけるパフォーマンスが向上したり、ぶつかられたときにも転倒せずにぐっと踏ん張ることができるようになり、動きの幅が広がります。

 

股関節のストレッチ方法

具体的に股関節周囲の筋肉それぞれのストレッチ方法をご紹介します。

 

■大臀筋

お尻についている最も大きな筋肉で股関節を伸展(後ろに引く動作)させる作用があります。

この筋肉が硬くなると、しゃがみ動作などがしにくくなってしまいます。

 

1.仰向けに寝て片方の膝を立て、反対の足はあぐらをかくように立てた方の太ももに引っかけます。

2.引っかけた足を崩さないようにしながら、立てた足を両手で抱えて手前に引きます。

3.引っかけた方のお尻に伸張感がでたらそのままの姿勢を保持します。

 

身体が硬く、この姿勢が難しい方は片方の足は伸ばしておき、反対の膝を曲げて両手で抱えるように胸に引き付ける形から行ってみてください。

 

■中臀筋

お尻の外側についている筋肉です。

股関節を外転(外に開く)作用があり、歩行時など片脚立ちになった時にバランスを崩さないよう支える大切な筋肉です。

 

1.両足を伸ばした状態で仰向けに寝ます。

2.上半身は仰向けにしたままストレッチする方の足の股関節、膝関節を曲げて反対の足の外側に持ってくるように股関節を捻ります。

3. お尻の外側、中臀筋のあたりに伸張感を感じたらそのままの姿勢を保持します。
 

■ハムストリングス

もも裏の筋肉で股関節を後ろに引く作用と膝を曲げる作用があります。

この筋肉が柔らかいと前かがみや靴下を履く動作などさまざまな動作が楽にできるようになります。

 

1. 足を閉じて直立し、ゆっくりと手を床に近づけるように前屈していきます。
2. ももの裏に伸張感を感じたらそのままの姿勢を保持します。
 

前屈で腰痛を感じたり、もも裏の伸張感を感じられない場合は、直立から膝を伸ばしたまま台の上に片足を乗せ、上げた足の方向に少し前屈すると上げた方のハムストリングスが伸張します。

 

■腸腰筋

股関節の前側にある筋肉で、股関節を屈曲する(曲げる)作用があります。

この筋肉が硬くなると股関節の前側が伸びにくくなるため、その分腰が反りやすくなり、負担がかかってしまいます。

 

1. 床の上で片膝立ちになります。
2. 上半身が前に倒れないように気をつけながら重心を前の足の方に移していきます。
3. 後ろの足のつけ根前側に伸張感を感じたらそのままの姿勢を保持します。
 

■大腿四頭筋

ももの前側の筋肉で、その中央にある大腿直筋は股関節を曲げる作用と膝を伸ばす作用があります。

腸腰筋同様、この筋肉が硬くなると腰が反りやすくなり負担がかかってしまいます。

 

1.仰向けに寝て片側の足だけ正座をするように曲げます。

2.曲げた方の膝が外に開かないように注意して、ももの前側に伸張感を感じたらそのままの姿勢を保持します。

 

この姿勢が難しい方は、上半身を完全に倒さず肘を伸ばして手を身体の後ろについて上半身が斜めに起きているような姿勢で行っても構いません。

慣れてきたら徐々に上半身を倒していきましょう。

 

■内転筋群

ももの内側にある筋肉で、股関節を閉じる(内転)作用があります。

この筋肉が硬くなると大きな幅で足を広げることができなくなり、スポーツ競技のパフォーマンスが低下したり、転倒しそうなときに踏ん張り切れなかったりしてしまいます。

 

1. 床の上で両足を前に投げだして座り、膝を伸ばしたままできる限り足を左右に開きます。
2. 上半身を両足の間で前方に倒します。
3. ももの内側に伸張感を感じたらそのままの姿勢を保持します。
 

この姿勢がとりにくい方は床の上で両足の裏をくっつけてあぐらをかくように座り、膝を床になるべく近づけるように開いてください。

 

股関節ストレッチのコツ

ストレッチを行うにあたっていくつかポイントがあります。

ストレッチの効果を最大限発揮するためにも、次の点に注意して行ってみてください。

 

1.身体の力を抜く

身体に力が入っていると筋肉が収縮してしまい、うまくストレッチできません。

リラックスして身体の力を抜き、ゆっくりとした呼吸をしながら行いましょう。

 

2.ストレッチした肢位で20~30秒静止する

筋肉の伸張性を十分に高めるためには、筋肉が伸張された姿勢で20~30秒程度保持する必要があります。

早く伸びるようにと反動をつけて動いたり、痛いからと数秒でやめてしまっては十分な効果が期待できませんので注意しましょう。

 

3.無理に伸ばしすぎないように注意する

ストレッチ中にその部位に強い痛みがあっても我慢していれば伸びてくると思いストレッチを続ける方がおられます。

不快でない程度の軽い痛みであれば問題ありませんが、強い痛みを伴うストレッチは筋肉を損傷してしまう可能性があります。

ストレッチを行う際には、筋肉の伸張感は感じながらも強い痛みを伴わないように注意してください。

 

おわりに

今回は、股関節の柔軟性の重要性とストレッチの方法をご紹介しました。

なんとなくストレッチを行うのではなく、それぞれのストレッチの意義やポイントをしっかりと理解すると、モチベーションも維持しやすくなり、効果もでやすくなります。

今は腰痛や膝痛と縁のない方やスポーツ習慣のない方もストレッチを習慣的に行うことで、血流や代謝改善といった面でも健康維持につながりますので是非始めてみていただきたいと思います。