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「腰や背中の痛みにはコレ!背筋ストレッチのやり方」

はじめに

背中や腰の痛みは、「重い物を持つこと」や「長時間の座り仕事」がきっかけとなったり、特にきっかけなく発症したりと誰にでもいつでも起こる可能性があります。
その症状は、軽いコリや重だるさから日常生活に支障をきたすような激痛まで様々で場合によっては病院を受診して治療が必要な場合もありますが、自分で何らかの対処を行うことで回復することもあります。
そこで、今回は腰や背中の痛みに対して有効なストレッチについてそのやり方や適応についてご説明します。

 

背部の痛みの原因は?

腰や背中の痛みと一口に言っても、痛みの原因は様々です。
その原因や症状によって対処の仕方も異なるので、まずは自分の痛みを正確に把握することが大切です。
ここでは、痛みの原因とその症状の特徴をご紹介します。

■筋肉のコリによるもの
腰や背中の痛みの中で、比較的症状の軽いものとして筋肉のコリによる痛みがあります。
これは、長時間同じ姿勢で作業を続けたり、重い物を何度も担ぐなど同じ負荷が繰り返しかかることで筋肉が何度も収縮し、徐々に筋肉が硬くなって血流が滞った状態になることです。
常時ある重だるさや鈍痛、筋肉を動かすときの痛みが主な症状ですが、ぎっくり腰のときのような激痛が含まれることはあまりありません。
筋肉が硬くなったり、血流が滞っているので、その筋肉に対してストレッチやマッサージで筋肉の伸張性を高めたり、血流が促されるような軽い運動を行うと痛みが解消されます。

■筋肉痛
筋肉痛は、日常で使っている以上に筋肉に負担をかけることで筋肉が微細断裂を起こし、炎症を起こして生じる痛みです。
筋肉痛はその部位を動かせないほど痛みが強いことはなく、負荷がかかった翌日や翌々日の朝起きたときに強い痛みがあったとしてもゆっくりと動いているうちに身体がほぐれて痛みが減少してきます。
筋肉痛を起こしているときは、筋肉が全体的にこわばっており、血流も悪くなっています。
筋肉への負担が大きい運動はさらに炎症を強めてしまうので逆効果ですが、ストレッチやゆっくりのウォーキングなどの軽い運動やぬるめのお湯での入浴で血流が促されて痛みが軽減します。
また、注意しておきたいのが筋肉痛と間違えてしまいがちな「肉離れ」です。
筋肉痛のような微細断裂を通り越して、筋肉が強く損傷するほど負荷をかけてしまうことで起きており、無理をして動けば動くほど炎症が増して症状が強くなります。
筋肉痛の場合とは対処法が異なりますので注意してください。

■急性の腰痛症や背部痛
姿勢をかえた瞬間や重い物を持った瞬間など急に腰や背中の強い痛みを生じるものです。
このような急性の腰痛症や背部痛は、安静時痛や動いた際の強い痛み、患部の熱感や腫れがあることが特徴で、脊柱の関節やその周囲の筋肉、靭帯を損傷して強い炎症が起こっている可能性があります。
このようなときはとにかく炎症を抑えることが最優先なので、安静にし、氷で患部を冷やすアイシングや冷湿布の使用、さらにひどい場合は整形外科を受診して痛み止めなどの服用をしましょう。
急性の炎症期を過ぎて少しずつ動けるようになってきたら、患部周囲の筋肉をゆっくりと動かすストレッチが有効になってきます。

 

主な背筋の種類と機能

■脊柱起立筋
その名の通り脊柱が倒れないように支える筋肉で多裂筋、最長筋、腸肋筋といった脊柱の左右両側についている筋肉の総称です。
主には、脊柱を伸展方向に引っ張る(腰や背中を反らす)ことに作用するので、前かがみから起き上がるときなどに力を発揮しますが、腹筋群と同時に働くことで体幹(胴体部分)を前後から支えるため、立っているだけ座っているだけでも姿勢を支えるために使われています。

■広背筋
胸椎から腰椎、仙骨、腸骨の広範囲から始まり上腕骨の小結節稜(肩関節の近く)に付き、肩甲骨の下端ラインから骨盤の上端ラインまで背中をびっしりと覆っている大きな筋肉です。
脊柱起立筋と同じく体幹を伸展させる(反らす)作用がありますが、脊柱起立筋が細やかに背骨をコントロールするのに対して広背筋は大きな筋肉なので伸展方向に動かしたり、腰を支えるのに大きなパワーを発揮する筋肉です。

■菱形筋・僧帽筋中~下部線維
菱形筋は左右の肩甲骨の内側にあり、脊柱の棘突起(背骨を背中で触れることのできる縦にならぶ突起)から肩甲骨の内縁に付いています。
胸を張る動作など肩甲骨を内側に寄せるときに働きます。
僧帽筋中部から下部線維は同じく棘突起から肩甲棘(肩甲骨背面に枝のように出ている部位)に付いています。
中部線維は菱形筋と同じく肩甲骨を内側に寄せる働きをし、下部線維は肩甲骨を下に引き下げる働きをしています。
いずれも肩甲骨を支えているので、肩こりと同時に硬くなって痛みを生じたり、肩に負担をかけたときに筋肉の損傷を起こすことのある筋肉です。

 

背筋ストレッチの方法

具体的な背筋ストレッチの方法をご紹介します。

■脊柱起立筋のストレッチ
(臥位バージョン)
1. 仰向けに寝て、両膝を両手で抱えてしっかりと胸に引き寄せます。
2. 背骨の周りに伸張感を感じたらそのまま静止、それでは伸張感がなければさらに頭を起こして頸を丸めるようにして静止します。

(座位バージョン)
1. 椅子に座り、踏ん張りがききやすいように股を開いてしっかりと足が地面につくようにします。
2. 頭の後ろで両手を組み、頸部の方から腰までゆっくり背骨を丸めるように前かがみになり、出来る限り両足の間に身体を落としていきます。
3. 背骨の周りに伸張感を感じたら、静止します。

■広背筋のストレッチ
1.椅子に座り、踏ん張りがききやすいように股を開いてしっかりと足が地面につくようにします。
2.伸ばしたい側(例えば右)の手首を反対側(左)の手で持ち、バンザイをしたら、伸ばしたい側の反対側(左)に身体を倒し、余裕があればさらに伸ばしたい側の反対方向(左)に身体を捻ります。
3.伸ばしたい側の脇腹から腰にかけて伸張感を感じたら、静止します。

■菱形筋・僧帽筋中部線維のストレッチ
1.椅子に座り、身体の前で両手を組みます。
2.肘を伸ばして組んだ両手を肩の高さまで上げたら、ゆっくりと背中を後ろに引きながら丸めて背中と手をできる限り離すようにします。
3.左右の肩甲骨の間に伸張感を感じたら、静止します。

 

背筋ストレッチの適応

腰や背中に痛みがあってもストレッチが適していないものもあり、ストレッチを行うことで症状を悪化させてしまうことがあります。
ここでは、背筋ストレッチの適応をご説明します。

■急性炎症がないこと
ストレッチを行うにあたって最も気にかけるべきことは急性の強い炎症がないかどうかということです。
なにかのきっかけで急激に背中や腰を傷めたばかりのときは、炎症が強く、患部を安静に保つことが一番の治療になります。
そのようなときにストレッチを行って筋肉や関節を刺激してしまうとますます炎症が強くなりますので、ストレッチを行う場合には急性の強い炎症がないことを確認してください。
急性の炎症があるかどうかについては、強い痛みの発症から数日以内であること、安静時や運動時に鋭い痛みがあること、患部に熱感や腫れがあることなどを目安にしていただき、わかりにくい場合は整形外科を受診してストレッチが適しているかどうか確認を行って下さい。

■ストレッチによる悪化がみられないこと
急性の炎症がない場合でも、ストレッチの肢位をとることで目的とした筋肉以外に関節や靭帯に負担がかかり、症状が悪化してしまう場合があります。
ストレッチを行っているときはなにも感じなくても、ストレッチを行ったあとに痛みが増幅する場合もありますので、ストレッチ後から調子が悪くなった気がするという場合は、そのストレッチは控え、整形外科を受診して医師や理学療法士に相談するようにしてください。

 

背筋ストレッチのコツ

背筋ストレッチをより効果的に行うために、ストレッチのコツをご説明します。

■ストレッチ肢位で20~30秒静止する
今回ご紹介したものは全て「静的ストレッチ」という基本的なストレッチで、筋肉を伸張させる肢位でゆっくりと伸張性が高まるのを待つというものです。
筋肉の伸張肢位をとっても数秒でやめてしまっては、筋肉の伸張性が高まらず効果が得られませんので、20~30秒はずっとその肢位をとっておく必要があります。
ストレッチ肢位を保持していると、筋肉が伸張してきて徐々に伸張感がなくなってきますので、その肢位を深めることでさらに筋肉を伸張するようにするとより効果的です。
また、静止せずに反動をつけて何度も動かすことで伸ばそうとするのも効果がありませんので注意してください。

■呼吸は止めずリラックスして行う
ストレッチを行う際に、伸張感が強く苦痛であるために呼吸を止めてしまう方が多くみられます。
しかし、呼吸を止めてしまうと身体の力が抜けず筋肉がうまく伸張できません。
血流も滞ってしまい逆効果になりますので、全身の力を抜いてリラックスできるようゆっくりとした呼吸を続けながらストレッチを行ってください。

■伸張感は強い痛みになる手前で行う
早く筋肉を柔らかくしたいと思うあまり、痛気持ちいい程度を超えて強い苦痛を伴うほど筋肉を伸張してしまう方がおられます。
強い痛みを伴うストレッチは身体に力が入ってしまい、効果的に筋肉を伸張させることができないだけでなく、筋肉を損傷させて肉離れになってしまうこともあります。
柔軟性は一度のストレッチでは養うことができませんので、焦らず日々積み重ねて行うことを心がけてください。

 

おわりに

今回は、背中や腰の痛みに対する背筋ストレッチについて、その方法や適応、コツをご紹介しました。
継続的に筋肉をストレッチすることで、柔軟でしなやかな筋肉を作り、痛みの改善や予防につながりますので是非習慣にしていただきたいと思います。
ただし、すでに症状が重篤な場合は一度医師や理学療法士に状態をみてもらい、ご自分に適したストレッチやその他のケア方法を習うことをおすすめします。