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徹底解説!腰痛を予防、改善する運動とは?

はじめに

慢性的な腰の張りからぎっくり腰まで多くの方を悩ませる「腰痛」ですが、なぜ起こるのでしょうか?
「歳だから」「運動不足だから」という声をよく耳にしますが、年齢を重ねたり運動不足に陥っている方はなぜ腰痛になりやすいのでしょうか?
今回は、多くの方が知っているようで知らないこれらの疑問を徹底的に解説します。
また、腰痛を予防、改善させるために必要なケアの仕方もご説明していきます。

 

腰痛の原因って?

腰痛の主な原因となるものをご紹介します。

 

柔軟性の不足

腰を傷める方の多くにあてはまるのが柔軟性の不足です。
筋肉は、日頃から柔軟性を高めるようなケアをしていないと加齢とともに硬くなり伸び縮みしにくくなってきます。

例えば直立姿勢から腰を曲げる際、腰の筋肉は引き伸ばされながらも下に落ちていこうとする上半身の重さを引っ張りながら支えています。いわば、クレーン車の先端部分をつっている状態です。
腰の筋肉は手や足の主な筋肉に比べて一つ一つが小さいにも関わらず上半身全体という重さを支えなければなりませんので、かなりの負担がかかります。
収縮しながら引き伸ばされるという力のやりとりの中、腰の筋肉の柔軟性が低いと筋肉の伸び縮みが上手くいかず、肉離れを起こしてしまいます。

また、腰を曲げるという動作は、腰の筋肉とともに臀部やもも裏の筋肉なども一緒に伸びていくのですが、下半身の筋肉が硬く、柔軟性が低下していると下半身の筋肉が伸びられない分、腰の筋肉が伸びざるをえなくなってしまいます。
よって腰の筋肉自体の柔軟性も必要ですが、下半身の筋肉の柔軟性も腰痛を起こさないためにはとても重要になります。

 

体幹筋力の低下

体幹というのは、身体の中で手足を除いたいわゆる胴体部分のことを言います。
腰の曲げ伸ばしの運動は、胴体全体を曲げ伸ばしすることとほぼ同じことになり、その部分の動きをコントロールしているのが体幹の前面にある腹筋群と後面にある背筋群になります。
体幹を前屈する際には、腹筋を縮め背筋を伸ばしながらうまく両者で上半身の重みを支えてコントロールします。
逆に後屈する際には、背筋を縮め腹筋を伸ばしながらコントロールします。

ですから腹筋と背筋の両者の筋力がしっかりしており、協調して働くことができなければ体幹の滑らかな動きやある一定の角度で止まっておくことはできません。
重たいものを持ち上げるとき、遠くのものを取ろうとして身体を伸ばしたときなどにこれらの筋肉がうまく働けないと、腰の筋肉が肉離れを起こして腰痛を発症してしまうのです。

 

NGな姿勢や動き方

下半身や腰の柔軟性が高く、体幹の筋力がしっかりしていても動くときの姿勢が悪かったり、腰に負担のかかりやすい動き方をする習慣があるとなかなか腰痛を予防することはできません。

例えば、重たいものを持ち上げようとしたときに猫背で腰が丸まったような姿勢では腹筋や背筋に力が入りにくいことは容易に想像がつくと思います。
また床にあるものを持ち上げるという動作において、体幹は腹筋と背筋でまっすぐに固定しておき、股関節や膝関節の屈伸を利用して持ち上げれば腰への負担は大きくありませんが、脚を伸ばしたままで腰の曲げ伸ばしだけで持ち上げようとすると腰への負担はかなり大きくなります。

このように、同じ柔軟性や筋力の方でも腰に優しい動作をする方と腰に負担の大きい動作をする方では腰痛になる可能性は大きく変わってきます。

 

腰への過度の負荷

柔軟性や体幹筋力、そして身体の使い方については身体の内部の要素になりますが、どんなにそれらを改善しても腰の筋肉や関節に過度の負担がかかってしまうと腰痛を免れることが難しくなります。

例えば、仕事などで重量物持ち上げを一日に何百回と繰り返すことが毎日続けば酷使された腰の筋肉が修復される前に次の負担をかけることになりますので、続けているうちに損傷してしまう可能性が高くなります。
また、不意に後ろから追突されて一瞬にして腰が反るような負担がかかるときも、本人は身構えて腹筋や背筋に力を入れているわけではないので身体を固めて守ることができずに腰の関節を捻挫してしまいます。

事故のようなことは自身で回避することは難しいですが、腰に負担のかかると思われる作業についてはできる限り減らしたり頻度を分散するように気を付けるだけでも腰痛の程度は変わってくるかと思います。

 

腰痛を予防、改善するためには?

腰痛を予防、改善するためには前に述べた腰痛の原因となる要素を減らしていく必要があります。
ここでは、柔軟性を改善し、体幹筋力を強化し、正しい身体の使い方を身に着ける方法を具体的に説明していきます。

 

ストレッチ

ストレッチは柔軟性を高めるために行うもので、硬くなった筋肉をゆっくりと伸張する体操です。
筋肉を柔らかくするためには、筋肉を伸張した姿勢を20~30秒程度続ける必要がありますので、伸張感を感じたらリラックスして静止するようにしてください。
一日の中で身体を動かし始める前や身体を使い終わって筋肉が凝り固まっているときなどに行うとより効果的です。
ここでは、腰痛に関与する筋肉のストレッチをご紹介します。

1. 膝抱え
膝の伸ばして仰向けに寝ます。 
片方の膝を曲げて自分の胸につけるように両手で抱えます。
曲げた方のお尻からもも裏に伸張感がでたら、静止します。

2. 臀部ストレッチ
膝を伸ばして仰向けに寝ます。
片方の足を持ち上げ、膝を90度程度曲げた状態であぐらをかくように外に捻り、足首と膝の外側の二か所を両手でそれぞれ支えて自分の胸に向けて近づけるように引きます。
持っている方の足の臀部に伸張感がでたら、静止します。

3. 腰ひねり
膝を伸ばして仰向けに寝ます。
片方の足を持ち上げ股関節と膝関節を90度程度に曲げた状態で反対の足の外側に持って行くようにクロスさせます。
このとき、腰も同時に捻るようにし、持ち上げた足の方の腰から臀部に伸張感がでたら、静止します。
上半身は上向きのままになるようにしてください。

4. もも裏ストレッチ
膝を伸ばして仰向けに寝ます。
片方の足を高く上げ、膝の裏を両手で抱えて自分の方に引くようにします。
しっかりと引けたら、その状態で抱えている方の膝をなるべく伸ばすようにします。
抱えている足のもも裏に伸張感がでたら、静止します。

身体が硬い方はこのやり方では難しい場合がありますので、椅子に座って行う方法もご紹介します。

椅子に浅く腰掛けます。
片方の膝を伸ばして床に置き、つま先を上げた状態で上半身を前に倒すようにします。
伸ばした方の足のもも裏に伸張感がでたら、静止します。

5. もも前ストレッチ
足を伸ばして前に投げ出すようにして床に座り、身体の後ろに両手をつきます。
片方の膝を曲げ、正座をするような位置に持ってきます(お尻の下に敷かなくてもお尻の横で結構です)。
そこからゆっくりと両手を後ろにずらしていき、身体を後ろに倒していきます。
曲げた方のもも前に伸張感がでたら、静止します。
完全に床に寝転がることができる場合はその状態で静止します。

 

体幹筋力トレーニング

体幹のトレーニングには色々な方法がありますが、今回は道具がなくても自宅で行えるもの、トレーニングに慣れておられない方にもやりやすいものを選んでご紹介します。

1. 腹式呼吸
腹筋群の中でも最も深部にあり、体幹を安定させるために働く腹横筋という筋肉のトレーニングです。
膝を立てて仰向けに寝ます。
大きく息を吸い、ゆっくり吐く深呼吸を行います。
息を吸うときにお腹を膨らめ、息を吐くときにお腹(おへその下の方)を引っ込めるようにします(これを腹式呼吸と言います)。
この呼吸を5~10回ほど続けます。
最初は、呼吸とお腹の動きを協調させることが難しいかもしれませんが、肩に力が入らないようにリラックスして行いましょう。
継続しているうちに徐々に下腹部に力が入る感覚が分かるようになってくると思います。

2. トランクカール
腹直筋(腹部浅層にあり、シックスパックとも呼ばれる筋肉)を中心に腹筋群全体を鍛えるトレーニングです。
膝を立てて仰向けに寝ます。
両手は頭の後ろまたは胸の前に組むか、ももの上に軽く添えるように置きます。
息を吐きながら頭、肩甲骨、腰の順番に持ち上げ、完全に起き上がったらゆっくりと横になるという動作を10~20回繰り返します。
このトレーニングはある程度腹筋の筋力がないと起き上がることができません。
難しい方は、まずは頭だけ、できるようになったら頭と肩甲骨を持ち上げ、おへそをのぞくことから始めましょう。
反動をつけて起き上がると腰を傷めてしまうおそれがありますので、必ずゆっくり行うようにしてください。

3. ブリッジ
背筋とともに大切な役割をする臀筋と背筋を一緒に鍛えられるトレーニングです。
両膝の間を拳一個分くらいあけ、膝を立てて仰向けに寝ます。
息を吐きながらゆっくりとお尻を持ち上げ、身体を横から見たときに肩から膝が一直線になるところまで来たら3秒静止し、ゆっくりとお尻を下ろします。
この動作を10~20回繰り返します。
お尻がそこまであがらない方は無理のないところまでで結構です。
お尻を上げたときに肛門をしめる意識をするとより効果的です。
また、お尻を上げすぎて腰が反ってしまうと腰を傷めるおそれがありますので注意してください。

4. バックエクステンション
実際に体幹を反らす動きを利用して背筋を鍛えるトレーニングです。
膝を伸ばしてうつ伏せに寝て、両手を頭の後ろに組みます。
息を吐きながらゆっくりと頭から胸を上げて上半身を反らすとともに肛門をしめるようにしながら両膝も浮かせるようにします。
この反らして戻す動きを10~20回繰り返します。
難しい方は、上半身はそのままで膝だけを浮かせることからで結構です。
反動をつけると腰を傷めてしまうおそれがありますのでゆっくり行うようにしてください。

5. プランク
腹筋と背筋を協調させ、体幹がまっすぐな状態をキープするトレーニングです。
うつ伏せになり、肘を90度に曲げて肩の真下につき、両肘から手先が平行になるようにセットします。
手がセットできたら足は骨盤の幅にしてつま先だけが床につくようにし、身体を浮かせます。
このとき身体を横から見た際に方から足首までが一直線になるように、背中が丸まったり腰が反ったりしないように注意しながら固定します。
この姿勢をとることが難しい方は、足をつま先でなく膝でつくようにし、肩から膝が一直線になるようにすると少し難易度を下げることができます。
肩に力が入りすぎないように、息を止めないようにし、最初は10秒、できるようになってきたら30~60秒キープするようにします。
これを1~3セット行います。

 

正しい動き方を身に着ける方法

柔軟性や体幹の筋力が改善したら、それをしっかりと活かすために腰に負担の少ない動き方を練習します。
その方法として最もわかりやすいのがスクワットです。
ここで正しいスクワット動作の方法をご説明します。

1. 足を骨盤の幅に開き、足先が進行方向を向くように両足を平行にします。
2. 手は頭の後ろや身体の後ろに組むか、身体の横に沿わせておきます。
3. ゆっくりと股関節、膝関節、足首を曲げて重心を落とします。
4. 踵を浮かせずに腰を落とせるところまで落としたらゆっくりとスタートの肢位に戻ります。
5. この動きを10~20回繰り返します。

スクワットのポイント
1. 股関節、膝関節、足首の曲がる角度が常に同じになるようにし、重心が前後せず真下に下りていくようにします。
2. 脊柱は常に一直線に固定されている状態を保持します。
3. 前から見た際に足首から股関節が常に平行になるようにし、膝が内側や外側にならないようにします。

正しいスクワット動作を習得すれば、立ち上がり動作、物を持ち上げる動作など腰を傷めることの多い動作に直結し、腰痛を予防することができますので是非取り入れていただきたいと思います。

 

おわりに

今回は腰痛になる原因とその予防・改善のために行うストレッチや体幹筋力トレーニングについてご説明しました。
実際に腰痛になりにくい身体を手に入れるためには、今回ご紹介したケアを日々繰り返して習得するまで時間と努力を要すると思います。
しかしそれだけでなく、今回ご説明したような腰痛になる機序を理解していただき、日頃から注意して行動していただくだけでもある程度の腰痛は防げるかと思います。
できることから取り入れていただき、少しでも腰痛予防・改善の手助けになればと思います。