リハラボ

知っておくと役に立つリハビリの知識を紹介

肋骨骨折のリハビリテーション

はじめに

肋骨骨折に対するリハビリテーションは、あまりイメージが沸かない方も多いかと思います。

しかし、肋骨骨折で生じる制限は多く、リハビリは必要です。

今回は、肋骨骨折に対するリハビリテーションについてお話していきたいかと思います。

 

肋骨骨折の概要

肋骨は、左右12対の合計24個の長く曲がった扁平骨で構成されています。

細い骨であるため、外からの衝撃により容易に骨折してしまいます。

肋骨の大きな役割としては、内臓の保護にあります。

 

肋骨骨折の受傷機転

肋骨骨折は、胸部外傷の中でも最も多くみられる損傷形態です。

原因としては、机やタンスなどの角にぶつけるなどの軽度の外力によるものや、交通事故や高いところからの転落などといった強い外力によるものがあります。

また、ゴルフスイングなどの捻る動作や咳などによっても骨折を引き起こす場合があります。

 

肋骨骨折の症状

肋骨骨折による症状は、疼痛・腫脹・皮下出血・圧痛などです。

疼痛症状としては咳やくしゃみ、笑ったときに強い痛みが走ります。

また、骨折部を下にして寝てしまうと、体重がかかり痛みが出現します。

腫脹部位としては、骨折部位周辺で起こります。骨折時、骨膜や骨髄、周囲組織の出血によるもので、局所的に起こります。また、時間の経過とともに、周囲に浸潤し皮下出血斑として確認できます。

肋骨骨折を引き起こした場合、指圧により軋轢音と共に強い疼痛が出現する場合もあります。

 

肋骨骨折の診断

肋骨骨折の診断としては、主に上記のような疼痛・腫脹・圧痛などの症状を確認します。

その後、X線画像により確定診断を行います。しかし、肺の画像や肋骨同士が重なっているため、骨折が判明しにくい場合もあります。

 

肋骨骨折の治療と治癒

治療としては、肺や心臓・血管損傷を伴っていなければ、骨折も不全骨折に対しても、消炎鎮痛剤の内服を行います。

疼痛が強い場合や骨折箇所の転位のリスクがある場合には、バストバンドやトラコバンドなどによって固定します。

肋骨の骨接合としては、約4週間程度必要とされています。

糖尿病や年齢によっての影響があるため、X線画像などにより、注意深く経過を観察する必要があります。

3カ所以上の肋骨骨折または、心肺機能不全のある患者は、入院し治療を施します。

 

肋骨骨折の合併症

ほとんどの合併症は、随伴する損傷によって起こります。

肋骨骨折の合併症は、大動脈損傷・鎖骨下損傷・心損傷・脾臓または腹部損傷(第7-第12肋骨のいずれかの骨折で起こる)・肺裂傷または挫傷・気胸・血胸です。

いずれも死亡率を高めてしまうものであるため、注意が必要です。

特に高齢者では、吸気のスプリンティングが無気肺や肺炎を引き起こす可能性があり、最大死亡率が20%と高い傾向にあります。

 

肋骨骨折に対するリハビリテーション

肋骨骨折に対するリハビリ方法は確立されておらず、これといった決まりはないです。

主としては、疼痛に対するリラクゼーションや呼吸法指導、廃用予防です。

 

疼痛

肋骨骨折を呈した場合、骨折周囲組織の炎症や筋損傷により、強い疼痛を伴います。

服薬による疼痛コントロールやアイシングによるケアが重要です。

また、疼痛により損傷や炎症を引き起こしてない筋が過緊張状態になる事があります。

治療プログラムとして、緊張した筋のリラクゼーションやストレッチ等を行い、緊張を緩めていきます。

 

呼吸

肋骨や肋間筋は呼吸時に挙上や拡大し、呼吸の補助としての役割もあります。

そのため、肋骨骨折を起こした場合、呼吸時に疼痛を伴いやすく、高齢者では不完全な呼吸となり、肺炎や無気肺を誘発してしまう場合があります。

そのため、楽に呼吸ができるポジショニングや代償により、緊張した筋のリラクゼーションを行う事で、肺炎や無気肺の予防および呼吸毎時に起こる疼痛を避ける事でのストレス軽減を図ります。

 

廃用予防

入院加療の場合、日常生活とは異なりどのような方でも必ず廃用を起こします。

そのため、下肢の筋力増強や歩行などの運動耐容能の維持を図っていきます。

 

その他

肋骨は内臓の保護や呼吸の補助だけでなく、肩関節の運動にも関与しています。

肩挙上時などに疼痛を伴いやすく、可動域制限を引き起こす事が多いです。

そのため、可動域訓練やストレッチなどによって、拘縮予防を図ります。

 

最後に

肋骨骨折に対するリハビリテーションは、あまりイメージが沸かない方や必要ではないと思う方も居るでしょう。

しかし、上記のようにリハビリの役割は重要です。

気胸や血胸などの合併症である方は積極的なリハビリは難しいですが、しっかりとリスク管理を行っていけば、問題なく訓練は可能です。

 

・参考文献

標準整形外科学

分担 解剖学

骨折治癒学会

リハビリテーション ビジュアルブック